【日常の豆知識】革製品の手入れ

革製品をお使いになる際のお手入れは、付着した汚れを落とすことから始まります。
革は微細な繊維が交絡しているため、その隙間に汚れが侵入すると取り除くことがやっかいになります。汚れを侵入させないためには、こまめな”乾拭き”が一番簡単な方法です。

★ 乾拭きの効果
革は乾拭きを繰り返すと、中の油分が染み出してきて、光沢を増し、表面を保護していきます。また油分による防水効果も期待できますので、手軽で効果的なお手入れは乾拭きです。
また、日光にあてることでも、同様に油分を活性化させて防水効果をもたらします。
乾拭きする時は、きれいな乾いた布などで軽くなでるようにして磨いていきます。
強くこすると、汚れを革に押し込んだり、革の種類によっては色が濃くなりますので、あくまで軽く”なでる”ようにするのが一番いい方法です。

★ やってはいけない事
汚れた場合、ベンジンやシンナーを使うと油性汚れは落ちますが、革の塗装膜を溶かしたりシミになったりするので絶対に使用しないでください。
水溶性の汚れを水ぶきする場合や、市販のクリーナーやクリームなどの手入れ剤を使用する場合も、革の表面仕上げ方法を考慮しないとシミや色ムラを生じる恐れがあり、かえって革を傷める結果となります。
メンテナンス用品を使用する場合には、いきなり全体に塗らないでください。 あらかじめ目立たない部分でテストし、色落ちやシミ等ができないか必ず確認してから全体に使用することが大事です。
革の取り扱いで最も気をつけることは、革が濡れた場合のメンテナンスです。雨、その他何らかの理由で革をぬらした時、直火、アイロン、ドライヤーなどにより高温で乾燥させてると革は硬化してしまいますので、革の乾燥は風通しのよい所での陰干しが原則です。

 

★ 革のメンテナンス用品の種類と注意事項
メンテナンス用品には下記のような様々なものがあります。選択する際に気をつけることは、磨き仕上げ等で光沢のある革には油性のメンテナンス用品は厳禁です。
油分や蝋分の追加で光沢が失われてしまいます。光沢のある革は原則として布等で乾拭きしてください。それでも汚れた場合は、光沢のある革には爬虫類の革用の手入れ剤の中から適切なものを選んでください。爬虫類の革用の手入れ剤は革の表面の光沢を維持できるものがあります。また、目立たない部分でのテストも行ってください。

★ 汚れ落とし用クリーナー
汚れを落とすために使用します。チューブ入り、ビン入り、エアゾールタイプ(スプレー式)、消しゴムタイプがあります。性質は弱酸性、中性とアルカリ性があり、アルカリ性の場合汚れを取る力が最も大きいのですが革の色落ちも大きいので、取り扱いは注意が必要です。他に、汚れ落としとともに防水、つや出し、柔軟効果、防カビ効果、保革効果をうたったものもあります。クリナーは革によって種類が分かれますので、革にあったものを選択してください。
中には、レザーソープのような石鹸タイプのものもありますが、適した革の種類と使い方をよく理解されてから使われることをお勧めします。

★ 保護クリーム
クリームの役目は、色・つやの保持、保革、防水、汚れ・傷からの保護などです。多くは靴などに使われます。
乳化性、油性、液体、エアゾールタイプなどがあります。乳化性クリームの主成分は水、油脂、ワックスであり、色に応じて着色剤が加えてあります。ビンやチューブに入っており、色の保持、保革に効果があります。油性クリームは缶入りが多く、水が入っていないため、つや出し、防水効果が大きくなります。液体クリームは水とワックスからなり、つやを与えるものが多く、エアゾールタイプは使い勝手のよさを目的としています。この他、防カビ剤、保湿剤等が配合されているものもあります。こうったクリーム性のメンテナンス用品も用途にあったものを選択することが重要です。

★ 油分添加剤
ペースト状、液状、半固形、エアゾールタイプがあり、革にオイルを与えて革を柔軟にし、革の割れを防止します。
こういったオイルの補充は、やりすぎると革を傷めることにもなります。何事もやりすぎはよくありません。
うっすらとつけて、きれいな布きれ等で伸ばすくらいで十分です。

★ 防水剤
エアゾールタイプが主流で、成分はシリコンやフッ素化合物です。他に、革クリームの中に防水効果を兼ね備えたものもあります。これらを使用する時は、革の種類(動物種ではなく、革の表面仕上げの状態:例えばスエード、ヌバックなど起毛革、素上げ、塗装仕上げなど)に合ったものを選び、あらかじめ目立たない部分で色落ち、シミやムラができないかテストすることが必要となってきます。